お酒の「ちゃんぽん」はなぜすぐに酔うのか?

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テーブルの上のお酒と食事

「ビールの後に日本酒を飲んだら、すぐに酔っちゃった」「ちゃんぽんすると悪酔いするって聞くけど、本当なの?」

飲み会のたびに耳にするこの言葉。私も以前、友人との食事会でビールから始まってワイン、最後にカクテルと色々なお酒を飲んでいたら、いつもより早く酔いが回った経験があります。でも、本当にお酒の種類を変えることが原因なのでしょうか。

実は、この「ちゃんぽん」にまつわる噂には、科学的に興味深い真実が隠れています。今回は、お酒のちゃんぽんと酔いの関係について、最新の研究をもとに徹底的に調べてみました。


「ちゃんぽん」の科学的真実

まず、結論から言うと、「お酒の種類を変えること自体が酔いやすくなる直接的な原因ではない」というのが現在の科学的見解です。少し意外かもしれませんね。

厚生労働省によると、アルコールは体内で主に肝臓によって代謝され、アルコール脱水素酵素(ADH)やミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)によってアセトアルデヒドに分解されます。その後、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸となり、最終的には水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。

ここで重要なのは、どんなお酒を飲んでも体内に入るのは「エタノール(エチルアルコール)」という同じ成分だということです。ビールでも日本酒でもウイスキーでも、酔いの原因となる主成分は変わりません。つまり、酔うか酔わないかは摂取したエタノールの総量によって決まるのです。

それでは、なぜ多くの人が「ちゃんぽんすると酔いやすい」と感じるのでしょうか。


ちゃんぽんで酔いやすく感じる本当の理由

飲む量が自然と増えてしまう

ちゃんぽんが酔いやすいと感じる最大の理由は、結果的にお酒の総量が増えてしまうことです。

人間の脳は、同じ味や香りのものを繰り返し摂取していると飽きを感じるようにできています。ずっとビールだけを飲んでいると、「もうビールはいいかな」という気持ちになりますよね。しかし、そこで日本酒やワインなど新しい味わいに変えると、脳は新鮮さを感じて「もっと飲みたい」という欲求が生まれます。

実際、私も散歩がてら立ち寄った居酒屋で、最初の生ビール一杯で満足しようと思っていたのに、メニューを見ているうちに「このレモンサワーも美味しそう」「せっかくだから日本酒も一杯」と、気づけば3杯も飲んでいたことがありました。まさに、味の変化が飲酒量の増加につながった典型的な例です。


飲むペースが速くなりがち

お酒の種類を変えると、もう一つの問題が起こります。それは飲むペースの乱れです。

たとえば、ビール(アルコール度数約5%)を飲んでいたペースのまま、日本酒(同15%程度)やウイスキー(同40%以上)に切り替えてしまうケースがあります。ビールと同じようにグイグイ飲んでしまうと、短時間で大量のアルコールを摂取することになり、肝臓の処理能力を超えてしまいます。

海外でも似たような俗信があります。「Beer before liquor, never been sicker(ビールの後に蒸留酒を飲むと最悪)」という言葉がありますが、これもアルコール度数の低いビールのペースのまま度数の高いお酒を飲んでしまい、結果的に飲みすぎるという現象を表しています。


量の把握が難しくなる

種類の違うお酒を飲んでいると、トータルでどれくらいのアルコールを摂取したのか分からなくなってしまいます。

ビール中瓶1本、グラスワイン2杯、ハイボール1杯……こう並べられても、純アルコール量に換算してどれくらいになるか、瞬時に計算できる人は少ないでしょう。厚生労働省によると、節度ある適度な飲酒量は1日平均で純アルコール約20g程度とされています。これはビール中瓶1本(500ml)や日本酒1合(180ml)に相当します。

様々な種類のお酒を飲んでいると、この適量の目安が曖昧になり、知らず知らずのうちに許容量を超えてしまうのです。


お酒の種類によって酔いやすさは変わるのか

実は、お酒の種類によって多少の違いはあります。ただし、これは「ちゃんぽん」とは別の話です。

醸造酒と蒸留酒の違い

お酒は大きく分けて醸造酒(ビール、ワイン、日本酒など)と蒸留酒(焼酎、ウイスキー、ブランデーなど)に分類されます。

一般的に、醸造酒の方が酔いやすいと感じる人が多いようです。これは、醸造酒には原料由来の糖やアミノ酸などの成分が多く残っており、これらがアルコール代謝に影響を与える可能性があるためです。また、醸造酒の種類ごとに異なる酵母で発酵させているため、アルコールの種類が微妙に異なり、肝臓への負担が変わることも指摘されています。ただし、どのお酒に含まれるアルコールも基本的には同じ「エタノール」です。醸造酒と蒸留酒で酔いやすさに差を感じる場合があるのは、味や香りの違いによって飲む量やペースが変わることが影響している可能性が高いと考えられています。


添加物の影響

リキュールや梅酒などの混成酒には、醸造酒や蒸留酒をベースに、薬草、ハーブ、果物、甘味料などが添加されています。糖分や香料が多いお酒は飲みやすく、つい量が増えてしまうため、結果的に悪酔いしやすいと感じる人もいるようです。

私が以前、甘いカクテルを何杯も飲んだときに悪酔いした経験がありますが、今思えば糖分や添加物の多さも影響していたのかもしれません。


肝臓への負担を考える

アルコールの代謝は主に肝臓で行われます。そして、肝臓の処理能力には限界があります。

厚生労働省によると、体重60〜70kgの人の場合、1時間に約5〜9gのアルコールを処理できるとされています。つまり、ビール中瓶1本(純アルコール約20g)を分解するのに約2〜3時間かかるということです。

この処理速度を超えて飲み続けると、分解されないアルコールが血液中に残り続け、酔いが進行します。特に、様々な種類のお酒を次々と飲んでいると、自分では気づかないうちに肝臓の処理能力を大きく超えた量を摂取してしまうのです。

また、アルコールの代謝能力には個人差があります。ADH1Bという酵素の遺伝子型によって、日本人の約5〜7%はアルコール分解が遅い体質であることが分かっています。自分の体質を理解した上で、適切な量を守ることが大切です。


悪酔いしないための実践的なコツ

科学的な知識を踏まえて、楽しくお酒を飲むためのコツをいくつかご紹介します。

飲む量とペースを意識する

ちゃんぽんをしても、総量とペースをコントロールすれば悪酔いは避けられます。お酒の種類が変わっても、「今日は純アルコール20gまで」という目安を持っておくと良いでしょう。

また、お酒を飲むときは必ず水も一緒に飲むことをおすすめします。特にアルコール度数の高いお酒を飲むときは、チェイサーとして水を用意しましょう。血中アルコール濃度の急激な上昇を抑えることができます。


食事と一緒に楽しむ

空腹時にお酒を飲むと、胃や小腸からの吸収が速くなり、血中アルコール濃度が急上昇します。必ず何か食べながらお酒を楽しみましょう。

特におすすめなのは、タンパク質やビタミンB群、ビタミンCを含む食品です。冷奴、枝豆、刺身、焼き鳥、トマト、ブロッコリーなどは、肝臓でのアルコール代謝を助ける栄養素が豊富に含まれています。

私も最近は、居酒屋でお酒を頼む前に必ず枝豆や冷奴を注文するようにしています。お腹に何か入れておくだけで、翌日の体調が全く違うんです。


自分の適量を知る

お酒の適量は人それぞれ異なります。遺伝的な体質、体重、年齢、性別、その日の体調など、様々な要因で変わります。

特に女性は男性よりもアルコールの影響を受けやすいとされており、適量は男性の半分から3分の2程度と言われています。また、65歳以上の高齢者も、より少量が適切です。

自分にとって心地よい量を見極め、周囲の雰囲気に流されずに自分のペースを守ることが何より大切です。


まとめ:ちゃんぽんの真実を知って賢く楽しむ

お酒のちゃんぽんが酔いやすいと感じるのは、お酒の種類を変えること自体が原因ではなく、結果的に飲む量が増えたり、ペースが乱れたりすることが主な原因でした。

つまり、種類を変えても、総量とペースをきちんとコントロールすれば、悪酔いを避けることは十分可能です。様々なお酒の味わいを楽しみたいという気持ちは、お酒好きならば誰しも持っているもの。無理に我慢する必要はありません。

大切なのは、科学的な知識を持った上で、自分の体と相談しながら適量を守ること。そして、お酒はあくまで楽しむためのものだということを忘れないことです。

次の飲み会では、「今日は色々なお酒を楽しみたいから、1杯ずつゆっくり飲もう」「チェイサーの水も忘れずに」と、自分なりの工夫をしてみてください。きっと、翌日も気持ちよく目覚められるはずです。

日々の暮らしの中で、お酒との付き合い方も一つの知恵。科学的な理解を味方につけて、より豊かな食の時間を過ごしていきましょう。


[参考]
厚生労働省「アルコールの吸収と分解」

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