失敗しないポータブル電源の選び方完全ガイド|5メーカー(Jackery、Anker、EcoFlow、Victor、工進)徹底比較とあなたに最適な一台の見つけ方
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ポータブル電源が欲しいけど、種類が多すぎてどれを選べばいいか分からない。そんな悩みを抱えていませんか?容量、出力、価格、メーカー…選択肢が多すぎて、結局何を基準に選べばいいのか迷ってしまう方が少なくありません。
実は、ポータブル電源選びで失敗する多くの方には共通点があります。
それは「容量だけを見て決めてしまう」「有名メーカーだから安心と思い込む」「用途を具体的にイメージせずに購入する」といった点です。
本記事では、5つのメーカー(Jackery、Anker、EcoFlow、Victor、工進)のポータブル電源の特徴を徹底比較。さらに「キャンプ」「防災」「車中泊」「節電」という4つの用途別に、初心者でも迷わず選べる実践的な選び方をご紹介します。
ポータブル電源選びの基礎知識|まず押さえるべき3つのポイント
ポータブル電源を選ぶ際は、基本となる3つのスペックを理解しておくことが重要です。
このポイントを押さえると、カタログスペックの意味が分かり、用途に合ったモデルを選びやすくなります。
1.容量(Wh)と定格出力(W)の違いを理解する
ポータブル電源のスペックで最も重要なのが「容量(Wh)」と「定格出力(W)」です。
名前が似ていますが、役割は全く異なります。
容量(Wh:ワットアワー)
「どれだけの電力を蓄えられるか」を示す数値です。
蓄えられるエネルギー量を表す値で、「何ワットの機器をどれだけの時間使えるか」を決める指標です。
Wh は「W(消費電力)×時間(h)」で計算され、エネルギー量そのものを示します。
使用可能時間の計算式
使用可能時間(h)= 容量(Wh)× 変換効率 ÷ 消費電力(W)
※変換効率とは、バッテリーからAC出力への変換時に発生するロスを考慮した値です。一般的に80〜85%程度で計算します。
計算例:スマートフォンの充電回数
[条件]ポータブル電源の容量500Wh、スマートフォンのバッテリー容量15Wh
[計算]500Wh × 0.85 ÷ 15Wh = 約28回
※実際の充電回数は、スマホの機種やバッテリーの劣化状態により変動します。
主な家電製品の消費電力と使用可能時間の目安(変換効率85%で概算)
| 家電製品 | 消費電力(目安) | 500Whで使える時間 | 1,000Whで使える時間 |
|---|---|---|---|
| スマートフォン充電 | 10〜15Wh | 約28〜42回 | 約56〜85回 |
| ノートパソコン | 30〜65W | 約6.5〜14時間 | 約13〜28時間 |
| 電気毛布 | 20〜70W | 約6〜21時間 | 約12〜42時間 |
| 扇風機 | 15〜40W | 約10〜28時間 | 約20〜56時間 |
| 電気ケトル | 900〜1,200W | 約6〜10回 | 約12〜20回 |
| 電子レンジ | 1,000〜1,200W | 約25〜35分 | 約50〜70分 |
※変換効率85%で計算。実際には出力方式、気温、家電の特性により異なります。
定格出力(W:ワット)
「同時に出力できる最大電力」を示す数値です。
これは容量とは無関係で、使いたい家電の「消費電力」がこの数値以内でないと動作しません。
例えば、電気ケトル約1,000W、ドライヤー1,200W、電子レンジ1,000Wは、定格出力が300Wのポータブル電源では動きません。
定格出力の考え方
使用する家電の消費電力 ≦ ポータブル電源の定格出力
この条件を満たさないと、家電は動作しません。また、複数の家電を同時に使う場合は、消費電力の合計が定格出力を超えないようにする必要があります。
※要注意:瞬間最大出力と起動電力
多くの家電製品は、起動時に瞬間的に定格の2〜3倍、ものによっては5倍以上の電力が必要です。
例えば、
- 冷蔵庫:定格100Wでも起動時は300〜600W
- エアコン:定格400〜800Wでも起動時は8,00〜1,600W以上
- 電動工具:定格500Wでも起動時は1,000〜2,000W
そのため、ポータブル電源には「瞬間最大出力」があり、これが起動電力をカバーできるかを確認しましょう。
定格出力別:使用できる家電の目安
| 定格出力 | 使用できる家電の例 | 使用できない家電の例 |
|---|---|---|
| 300W以下 | スマホ充電、ノートPC、LEDライト、扇風機 | 電気ケトル、ドライヤー、電子レンジ |
| 500〜800W | 上記+電気毛布、小型炊飯器、ポータブル冷蔵庫 | 電気ケトル、ドライヤー(強)、電子レンジ |
| 1,000〜1,500W | 上記+電気ケトル、ドライヤー、電子レンジ、IH調理器 | エアコン、大型暖房器具 |
| 2,000W以上 | ほぼすべての家電(複数同時使用も可能) | 業務用・大型エアコンなど |
容量と定格出力の組み合わせが重要
初心者が陥りやすいのは、「容量だけ」または「定格出力だけ」を見て購入してしまうパターンです。両方のバランスが取れていないと、思ったように使えません。
失敗パターン①:容量は大きいが出力が小さい
例:容量1,000Wh、定格出力300Wのポータブル電源
スマホやノートパソコンの充電には十分な容量がありますが、電気ケトルやドライヤーは定格出力が足りず、そもそも動かせません。キャンプで調理家電を使いたい方にとっては不満が残る選択になります。
失敗パターン②:出力は大きいが容量が小さい
例:容量300Wh、定格出力1,500Wのポータブル電源
電気ケトルは動かせますが約10〜20分で空になります。
2.リン酸鉄リチウムイオン電池を選ぶ
2025年現在、ポータブル電源の主流はリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)になりました。
従来の三元系リチウムイオン電池と比較して、充放電サイクルが約3,000〜4,000回と圧倒的に長寿命で、毎日使用しても約10年間使い続けられる計算です。
さらに重要なのが安全性の高さです。リン酸鉄リチウムイオン電池は熱安定性に優れており、高温環境下でも発火リスクが低く、災害時の備えとしても信頼性が高い選択肢となっています。価格は三元系よりやや高めですが、10年使えることを考えれば、1日あたりのコストは非常に低くなります。
ポータブル電源の最新モデルはほぼリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しており、もはや業界標準となっています。中古品や格安モデルで三元系電池を使っている製品もありますが、長期的なコストパフォーマンスを考えると、リン酸鉄タイプを選ぶのが賢明な判断でしょう。
3.用途別の推奨容量|自分に必要なサイズはどれか?
ポータブル電源選びで最も迷うのが「容量」です。大きすぎても無駄ですし、小さすぎても役に立ちません。用途別の推奨容量を知っておけば、選択肢を大幅に絞り込めます。
250〜500Wh(小容量)
ソロキャンプ、日帰りアウトドア、スマホ・タブレットの充電が中心の用途に向いています。
軽量で持ち運びやすい反面、調理家電や高出力家電の使用には向きません。
500〜1,000Wh(中容量)
1〜2泊のキャンプ、車中泊、軽い在宅ワーク用途に最もバランスが良い容量です。
電気ケトルで朝のコーヒーを入れたり、電気毛布で一晩暖かく過ごしたりできる実用的な容量で、初めての1台として最も選ばれやすいクラスです。
1,000Wh以上(大容量)
防災・停電対策、家族でのキャンプ、長期車中泊向けです。
3日間程度の停電にも対応できる安心感があり、複数の家電を同時に使用できます。価格15〜35万円と本格的な投資になりますが、災害保険と考えれば妥当な価格帯です。
迷ったら「ワンサイズ上」を選ぶと良いでしょう。容量不足で後悔するケースは多いですが、容量が多すぎて困ることはほとんどありません。予算が許すなら、自分が必要だと思う容量より少し大きめのモデルを選ぶと、長く満足して使えます。
5メーカーの特徴を徹底比較|それぞれの強みと選ぶべき人
ポータブル電源市場には数多くのメーカーがありますが、ここでは5メーカー(Jackery、Anker、EcoFlow、Victor、工進)に絞ってご紹介します。
各社の特徴を知ることで、あなたに合ったブランドが見えてくるでしょう。
Jackery(ジャクリ):業界トップシェアの安定感と5年保証
2012年にアメリカ・カリフォルニアで誕生したJackeryは、ポータブル電源のリーディングカンパニーとして世界で600万台以上の販売実績を誇ります。黒とオレンジのブランドカラー「ジャクリカラー」で統一されたスタイリッシュなデザインは、所有欲を満たしてくれると評判です。
2024年以降、Jackeryが力を入れているのが「New」シリーズです。従来モデルから大幅な小型軽量化を実現し、例えば「Jackery 1000 New」は容量1,070Whで重量10.8kg、従来モデルから約20%のコンパクト化に成功しています。「Jackery 2000 New」も容量2,042Whで重量17.9kgと、2,000Whクラスで最軽量を実現しました。
充電速度も大きな進化ポイントで、最短約60分での急速充電技術により、出発前の充電し忘れにも対応できます。世界初のCTB技術(Cell to Body:バッテリーを構造体として活用する技術)を採用し、内部スペースを最大限活用することで、高容量と小型化の両立を実現しています。
公式サイトで購入すると自動的に5年間の長期保証が適用されるため、長期的な安心感を求める方に最適なメーカーと言えます。
Jackeryを選ぶべき人
ブランドの安心感を重視する、長期保証が欲しい、デザイン性を求める、小型軽量モデルが欲しい方
Anker(アンカー):技術革新と世界最速の急速充電
モバイルバッテリーで世界的な知名度を誇るAnkerは、その充電技術をポータブル電源に応用し、業界に革新をもたらしています。「Anker Solix C1000 Gen 2」は、独自の急速充電技術HyperFlashにより、1,024Whの容量を約54分で満充電できるという驚異的な速度を実現し、世界最速クラスの充電性能を誇ります。
Anker製品の最大の強みは、コンパクト性と高出力の両立です。「Anker Solix C1000 Gen 2」は、容量1,000Wh帯かつAC定格出力1,500W以上のリン酸鉄リチウムイオン電池搭載モデルにおいて世界最小クラスを達成。前モデルから約7%の省サイズ化と約12%の軽量化を実現し、限られたスペースでも設置しやすい設計になっています。
さらに定格出力1,550Wという家庭用コンセントと同等のパワーを備え、一般家庭で使用されるAC100V対応家電の99%以上を動かせます。10ポート搭載で複数デバイスの同時充電・給電にも対応し、専用アプリによる遠隔操作で使い勝手も抜群です。
Ankerを選ぶべき人
急速充電を重視する、コンパクトさが重要、最新技術に興味がある、コスパを求める方
[参考]Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station|Anker Japan
EcoFlow(エコフロー):豊富なラインナップと圧倒的なコスパ
中国・深圳に本社を置くEcoFlowは、ポータブル電源専業メーカーとして技術開発に注力し、革新的な製品を次々と市場に投入しています。最大の特徴は、容量や用途に応じた豊富な製品ラインナップと、拡張バッテリーによる容量増設の柔軟性です。
2025年11月には「EcoFlow DELTA 3 1000 Air」という超コンパクトモデルも登場しました。容量960Whで重量約10kgという軽量設計で、従来の1,000Whクラスモデルから約30%の小型化を実現しています。
EcoFlowは専用アプリによる遠隔操作や充電状況のモニタリングにも力を入れており、スマートフォン世代にとって直感的に使いやすいインターフェースを提供しています。また、拡張バッテリーに対応したモデルが多く、初期投資を抑えつつ、後から容量を増やせる柔軟性も魅力です。
EcoFlowを選ぶべき人
価格を最優先する、多機能を求める、将来的に拡張したい、スマホアプリで管理したい方
[参考]EcoFlowポータブル電源でキャンプ、車中泊、停電時に電力の自由を手に入れよう|EcoFlow Japan
Victor(ビクター):日本ブランドの信頼性と常時接続対応
オーディオ機器で有名なJVCケンウッドが展開するVictorブランドのポータブル電源は、2022年から本格参入した比較的新しいプレーヤーです。日本の家電メーカーとしての高い品質管理と、音響機器製造で培った技術力を活かした製品展開が特徴です。
Victorの最大の強みは、コンセントに常時接続したまま使用できる設計です。一般的なポータブル電源は、バッテリー劣化を防ぐため80%程度の充電量で保管し、3ヶ月に一度は充電するメンテナンスが推奨されています。しかしVictorは独自設計により、コンセントに挿しっぱなしでも劣化しにくい構造を実現しています。
デザイン面では、白を基調とした清潔感のあるカラーリングで、リビングに置いても違和感がありません。液晶画面の日本語表記も分かりやすく、機械が苦手な方や年配の方でも直感的に操作できます。
価格帯はやや高めですが、日本メーカーならではの丁寧なサポート体制と、約3,000回〜4,000回の充放電サイクルという長寿命設計を考えれば、長期的には納得できる投資です。特に「海外メーカーは不安」という方にとって、Victorは安心して選べる選択肢となるでしょう。
Victorを選ぶべき人
日本メーカーを信頼する、常時接続で使いたい、デザイン重視、在宅勤務のバックアップ電源が欲しい方
工進(KOSHIN):和のデザインで普段使いを提案する日本メーカー
2024年9月、日本の老舗機械メーカー工進がポータブル電源市場に参入しました。1948年創業以来、ポンプや発電機を手掛けてきた技術力を活かし、「身近な普段使い」をコンセプトとした独自の製品展開を行っています。
Victorと同様にパススルー機能を搭載し、充電中も家電製品に給電できます。
現在発売されているのは「ポータブル電源 600W(BPS-6L)」(容量614Wh、定格出力600W、重量9.4kg)と「ポータブル電源
1200W(BPS-12L)」(容量1,229Wh、定格出力1,200W、重量17.5kg)の2モデルです。両モデルともリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、約4,000回の充放電サイクルで毎日使っても約10年間使用できます。
海外メーカーが主流の市場において、日本メーカーならではの視点で差別化を図っている点が注目されます。ただし、ラインナップは2モデルのみと少なく、価格帯もやや高めなので、選択肢の広さを求める方には物足りないかもしれません。
工進を選ぶべき人
日本メーカーにこだわる、インテリア性を重視する、普段使いで節電したい
【用途別】失敗しない選び方①:キャンプ・アウトドア向けモデル
キャンプやアウトドアでポータブル電源を使用する場合、最も重視すべきは「携帯性」です。テントサイトまで手で運ぶシーンを想定し、重量とサイズ、そして必要十分な容量のバランスが重要になります。
ソロキャンプ・日帰りなら250〜500Wh|軽量コンパクトモデル
ソロキャンプや日帰りのアウトドアアクティビティでは、スマートフォン、タブレット、カメラ、LEDライトの充電が主な用途になります。この場合、250〜500Wh程度の容量で十分対応できます。
おすすめ①:Jackery 240 New(容量256Wh、重量3.6kg、定価32,800円)
重量わずか3.6kgという軽量設計で、女性でも片手で楽々運べるのが最大の魅力です。サイズも約231 × 153 × 168mmとコンパクトで、手軽に持ち運びできます。定格出力300Wで、スマートフォンなら約11回、ノートパソコンなら約2回の充電ができ、日帰りキャンプには十分な容量です。
おすすめ②:EcoFlow RIVER 3(容量230Wh、重量4.5kg、定価30,900円)
価格がJackeryよりも抑えられており、エントリーモデルとして高いコストパフォーマンスを発揮します。ACコンセント2口、USB Type-A 2口、USB Type-C 1口を装備し、複数デバイスの同時充電に対応。リン酸鉄リチウムイオン電池により長寿命を実現しており、初めてのポータブル電源として最適です。
おすすめ③:Victor BN-RF250(容量256Wh、重量約4kg、定価53,900円)
日本メーカーの安心感を求める方におすすめです。常時接続対応なので、キャンプ前の充電忘れが心配な方でも、普段からコンセントに挿しておけば常に満充電の状態を維持できます。白いボディはアウトドアの雰囲気とも相性が良く、清潔感があります。
これらの小容量モデルは、登山やハイキングなど、荷物の軽量化が求められるアクティビティにも適しています。ただし、電気毛布や小型冷蔵庫などの消費電力が大きい家電を長時間使用するには容量不足なので、あくまで充電メインの用途と割り切って選びましょう。
ファミリーキャンプ・連泊なら1,000Wh前後|実用的バランス型
家族でのキャンプや連泊する場合、電気ケトル、炊飯器、サーキュレーター、スマートフォン複数台の充電など、用途が多様化します。この場合、1,000Wh前後の容量があると安心です。
おすすめ①:Jackery 1000 New(容量1,070Wh、重量10.8kg、定価119,800円)
1,000Whクラスで業界トップレベルの軽さとコンパクトボディを実現したモデルです。サイズは約327 × 224 × 247mmで、車のトランクにも収まりやすい設計。定格出力1,500W、瞬間最大出力3,000Wのハイパワーを備え、電気ケトルや電子レンジといった調理家電も動かせます。60分でフル充電できる急速充電機能により、前日の充電し忘れにも対応できます。アプリによる遠隔操作で、テント内から充電状況を確認できる利便性も魅力です。
おすすめ②:Anker Solix C1000 Gen 2(容量1,024Wh、重量11.2kg、定価99,990円)
約54分で満充電できる世界最速の充電速度が最大の魅力です。朝出発前に「充電し忘れた!」と気づいても、朝食の準備をしている間に満充電できるため、突然のキャンプでも安心です。世界最小クラスのコンパクト設計により、テント内での置き場所にも困りません。定格出力1,550Wで、一般家電の99%以上を動かせるパワーがあり、10ポート搭載で家族全員のデバイスを同時に充電できます。
おすすめ③:EcoFlow DELTA 3(容量1,024Wh、重量12.5kg、定価139,700円)
定格出力1,500W、ACコンセント6口という充実したスペックを備えています。X-Boost機能により、最大2000Wの家電も稼働させることができ、本格的なポータブル電源を手に入れたい方に最適です。専用アプリでの遠隔操作にも対応しており、スマートフォンから充電状況を確認できます。
ファミリーキャンプでは、日中の活動中にソーラーパネルで充電し、夜間に電気を使用するというサイクルが有効です。各メーカーともソーラーパネルとのセット販売を行っており、セット購入することで電力の自給自足を目指せます。
キャンプで実際に使う際の実用ポイント
キャンプでポータブル電源を使用する際、いくつかの実用的なポイントがあります。まず、夏場は高温になる車内に長時間放置しないこと。リチウムイオン電池は高温環境下で劣化が進むため、日陰で涼しい場所に保管しましょう。
防水性能については、ほとんどのポータブル電源が完全防水ではないため、雨天時はタープの下や車内で使用する必要があります。万が一水濡れした場合は、すぐに電源を切り、完全に乾燥させてから使用してください。
充電タイミングについては、キャンプ場到着後すぐにソーラーパネルを設置して充電を開始することで、夜間の電力消費に備えられます。曇りや雨の日でもある程度の発電は可能なので、諦めずにパネルを展開しておくことをおすすめします。
【用途別】失敗しない選び方②:防災・停電対策向けモデル
災害時の備えとしてポータブル電源を選ぶ場合、容量の大きさと信頼性が最重要です。長期間の停電にも耐えられる大容量モデルと、緊急時に必要な家電の選定がポイントになります。
災害時には季節家電への電力供給が命を守る重要な役割を果たします。夏場は扇風機やサーキュレーター、冬場は電気毛布や小型ヒーターといった体温調節機器に優先的に電力を使うべきです。
次に優先度が高いのは、情報収集のためのスマートフォンやタブレット、ラジオの充電です。災害情報や安否確認には通信機器が不可欠なため、常に充電できる状態を維持することが重要です。照明も重要で、停電した夜間、LEDランタンがあるだけで心理的な安心感が大きく変わります。LEDランタンの消費電力は5〜20W程度と小さいため、長時間の使用が可能です。
一方、テレビや洗濯機といった娯楽・快適性を目的とした家電は、限られた電力では後回しにすべきです。冷蔵庫についても、容量の大きい家庭用冷蔵庫は消費電力が100〜150Wと大きいため、ポータブル電源での長時間稼働は難しい場合があります。保冷剤を併用するなど、電力消費を抑える工夫が必要です。
3日間の停電に備える1,500〜2,000Whクラス
防災の基本は「3日間の自給自足」と言われます。救援物資が届くまでの期間を想定すると、1,500〜2,000Whクラスの大容量モデルが現実的な選択肢になります。
おすすめ①:Jackery 2000 New(容量2,042Wh、重量17.9kg、定価239,800円)
世界初、2,000WhクラスでのCTB技術を採用し省スペースを実現したモデルです。定格出力2,200W、瞬間最大出力4,400Wという強力なパワーにより、電子レンジやホットプレートといった高出力家電も動かせます。スマートフォン充電(約80回)、電気毛布(約25時間)、小型炊飯器(約5.3時間)など、家族3〜5人の家族に約3日間の緊急電力を提供できます。
おすすめ②:Anker Solix C2000 Gen 2(容量2,048Wh、重量25.7kg、定価199,900円)
容量2,000Wh帯のリン酸鉄リチウムイオン電池搭載モデルにおいて世界最小クラスを実現したモデルです。別売りの拡張バッテリーに対応し、最大5120Whまでバッテリー容量を拡張できます。
おすすめ③:EcoFlow DELTA 3 1500(容量1,536Wh、重量16.5kg、定価181,500円)
定格出力1,500W、ACコンセント6口という充実したスペックを備えています。旧モデルのDELTA 2(容量1,024Wh)とほぼ同サイズでありながら、容量が約1.5倍に増えているコストパフォーマンスの高さが魅力です。最短60分で80%、90分でフル充電という業界最速クラスの急速充電で、急に使用したい時にも便利です。
おすすめ④:Victor BN-RF1500(容量1,536Wh、定格出力1,500W、定価264,000円)
日本メーカーの安心感を最重視する方におすすめです。リン酸鉄リチウムイオン電池を搭載し、約3,000回の充放電サイクルという長寿命を実現しています。常時接続対応なので、冷蔵庫に常時通電しておけば、停電後も保冷を継続することができます。価格は高めですが、災害時の安心感は何物にも代えがたい価値があります。
防災用ポータブル電源の保管とメンテナンス
防災用として購入したポータブル電源を押し入れにしまい込んだまま忘れてしまう、というのは最もよくある失敗パターンです。いざという時に使えない状態では意味がありません。
バッテリーは空のまま長期間放置すると劣化が進み、充電できなくなる可能性があります。保管時はバッテリー残量80%以上を維持し、3ヶ月に一度は動作確認と充電を行うことが推奨されています。
VictorやEcoFlowのポータブル電源が提案する「常時接続」や「普段使い」というコンセプトは、この問題を解決する一つの答えです。日常的にスマートフォンの充電スタンドとして使ったり、リモートワーク時のノートパソコン電源として使ったりすることで、常に稼働状態を維持できます。パススルー機能により充電中も給電できるため、コンセントの延長感覚で使用できるのです。
【用途別】失敗しない選び方③:車中泊向けモデル
車中泊でポータブル電源を活用する場合、車内の限られたスペースに収まるサイズ感と、調理家電や冷暖房器具を動かせる出力のバランスが重要になります。
車中泊での主な電力需要は、照明、スマートフォン充電、夏場のポータブル扇風機、冬場の電気毛布、電気ケトルや炊飯器といった簡易調理家電です。これらを総合すると、700〜1,500Wh程度の容量があれば、1泊2日の車中泊を快適に過ごせます。
特に重要なのは冬場の電気毛布対策です。車内で暖房を使うには車のエンジンをかけ続ける必要があり、燃料消費や排気ガス、騒音の問題があります。消費電力50〜60Wの電気毛布なら、1,000Whのポータブル電源で約15〜20時間使用できるため、一晩中快適に眠れます。夏場は、消費電力20〜40Wのポータブル扇風機やUSB扇風機を使用することで、エンジンを止めた状態でも涼しく過ごせます。
車中泊におすすめの700〜1,200Whモデル
おすすめ①:Jackery 1000 New(容量1,070Wh、重量10.8kg、定価119,800円)
車中泊に最適なバランス型モデルです。コンパクトな本体サイズにより、車のトランクや後部座席の足元にすっぽり収まります。定格出力1,500Wなので、電気ケトルで朝のコーヒーを沸かしたり、車載冷蔵庫を一晩中稼働させたりすることも可能です。アプリによる遠隔操作に対応しており、運転席からスマートフォンでバッテリー残量を確認したり、出力のオン・オフを切り替えたりできる利便性も魅力です。
おすすめ②:Anker Solix C1000 Gen 2(容量1,024Wh、重量11.2kg、定価99,990円)
約54分で満充電できる急速充電機能により、休憩している短時間にACコンセントから充電を完了できます。世界最小クラスのコンパクト設計で車内スペースを圧迫せず、10ポートの豊富な出力端子により、複数デバイスの同時使用に対応します。車中泊の道の駅巡りなど、移動の多い旅行スタイルに適しています。
おすすめ③:工進 ポータブル電源 1200W(BPS-12L)(容量1,229Wh、重量17.5kg、定価128,000円)
日本メーカーの品質と常時接続機能を求める方におすすめです。パススルー機能により、車のシガーソケットから充電しながら家電製品に給電できます。EPS機能により停電時に0.03秒未満で自動切替するため、車中泊中に突然エンジンが止まっても、接続している家電は動き続けます。
おすすめ④:Victor BN-RF800(容量806Wh、定格出力700W、定価118,800円)
車中泊初心者におすすめのモデルです。重量約11kgと比較的軽量で、女性でも持ち運びやすいサイズ感。常時接続対応なので、車中泊から帰宅後、自宅のコンセントに挿しておけば次回の車中泊時には常に満充電の状態で使えます。白いボディは車内の雰囲気を明るくし、清潔感があります。
シガーソケット充電と走行充電の活用
車中泊でポータブル電源を使用する際、車のシガーソケットから充電できる機能は非常に便利です。紹介した5メーカーの製品はすべてシガーソケット充電に対応しており、走行中に充電することで、目的地到着時にはフル充電の状態で使い始められます。
ただし、シガーソケット充電の入力電力は100〜120W程度と小さいため、満充電には10〜12時間程度かかります。長距離ドライブなら問題ありませんが、短時間の移動では満充電にならない可能性があります。その点、Ankerの急速充電機能があれば、道の駅などでのAC充電を組み合わせることで、より効率的に電力を確保できます。
EcoFlowは専用の「Alternator Charger」(走行充電ソリューション)を提供しており、これを装備することで約800Wの高速走行充電が可能になります。通常のシガーソケット充電の約8倍の速度で充電できるため、車中泊を本格的に楽しむ方には投資価値のあるオプションです。
【用途別】失敗しない選び方④:節電・普段使い向けモデル
電気代高騰が続く近年、ポータブル電源を日常の節電に活用する動きが広がっています。深夜の割安な電力で充電し、日中に使用することで光熱費を削減できるのです。
工進が提案する節電モデルでは、深夜割引時間(夜間の1kWh当たり約24.2円)に充電し、日中(1kWh当たり約38.8円)に普段使いの電化製品を使うことで、理論上年間約60,800円の節電効果があるとしています。これは総務省統計局「家計調査
家計収支編」のデータと、電力会社10社の2024年7月時点の電気料金に基づいた試算です。
[参考]日本メーカーが開発した信頼のポータブル電源|KOSHIN
実際の節電効果は使用状況によって変動しますが、在宅勤務が多い方や、日中に電力消費が集中する家庭では、月々数千円の電気代削減につながる可能性があります。ポータブル電源本体の価格を考えると、元を取るには数年かかりますが、災害時の備えも兼ねられることを考えれば、十分に投資価値があると言えるでしょう。
パススルー機能とEPS機能が鍵
普段使いを想定した製品選びでは、パススルー機能とEPS機能の有無が重要なポイントになります。パススルー機能とは、ポータブル電源を充電しながら、同時に接続した家電製品に給電できる機能です。これにより、コンセントの延長コードのような感覚で使用できます。
工進製品が搭載するEPS機能は、さらに一歩進んだ機能です。平常時は通常のコンセント電力で家電を動かし、停電などでコンセントからの給電が途切れた際に、0.03秒未満で自動的にポータブル電源からの給電に切り替わります。
EPS機能付きのポータブル電源を常時接続しておけば、落雷による瞬時停電や、ブレーカーが落ちた際の被害を最小限に抑えられるでしょう。
普段使いにおすすめのモデル
おすすめ①:工進 ポータブル電源 600W(BPS-6L)(容量614Wh、重量9.4kg、定価59,800円)
日本メーカーならではの細やかな配慮が光るモデルです。リビングに置いても違和感のないデザイン、パススルー機能とEPS機能の搭載、そして日本語による丁寧なサポート体制が魅力です。リモートワーク用のノートパソコン、Wi-Fiルーター、デスクライトなどを接続し、普段はコンセント電力で動かしながら、停電時には自動的にバックアップ電源として機能します。
おすすめ②:Victor BN-RF800(容量806Wh、定格出力700W、定価118,800円)
常時接続を前提とした設計で、家庭用の予備電源として最適です。白を基調とした涼しげなデザインで、リビングやキッチンカウンターに置いても違和感がありません。液晶画面やボタン表示も見やすく、初めてポータブル電源を使う人にもおすすめです。約3,000回の充放電サイクルにより、長寿命設計です。
おすすめ③:Anker Solix C1000 Gen 2(容量1,024Wh、重量11.2kg、定価99,990円)
世界最小クラスのコンパクト設計により、デスク下やキッチンカウンターの脇などに設置しやすく、日常的に充電ステーションとして活用できます。約54分で満充電できる急速充電機能は、「今日は電気代の安い夜間電力で充電するのを忘れた」という場合でも、短時間で充電を完了できるため、柔軟な運用が可能です。
おすすめ④:Jackery 600 Plus(容量632Wh、重量7.3kg、定価86,000円)
軽量コンパクトでありながら定格出力800Wという十分なパワーを持つバランス型モデルです。リン酸鉄リチウムイオン電池により約4,000回の充放電サイクルを実現しており、毎日充電しても10年間使い続けられる長寿命設計です。日常的な節電用途には十分な容量で、かつ持ち運びも容易なため、普段使いと防災の両方に対応できます。
まとめ:あなたに最適な一台の見つけ方
ポータブル電源選びは、自分のライフスタイルと優先順位を明確にすることから始まります。本記事で紹介した4つの用途(キャンプ、防災、車中泊、節電)のうち、何を最優先するかによって、最適なモデルは変わってきます。
キャンプ・アウトドアを重視するなら、軽量コンパクトで持ち運びやすいJackery 1000 NewやAnker Solix C1000 Gen 2が最適です。急速充電機能があれば、前日の充電し忘れにも対応できます。
防災・停電対策を第一に考えるなら、大容量のJackery 2000 NewやAnker Solix C2000 Gen 2、コストパフォーマンス重視ならEcoFlow DELTA 3 1500が有力候補です。日本メーカーの安心感を求めるならVictor BN-RF1500も選択肢に入ります。
車中泊での快適性を求めるなら、コンパクトで高出力なバランス型のJackery 1000 NewやAnker Solix C1000 Gen 2が使い勝手に優れています。シガーソケット充電対応で、走行中に充電できる利便性も魅力です。
普段使いと節電を兼ねたいなら、デザイン性が高く日本メーカーの安心感がある工進のポータブル電源や、常時接続に対応したVictor製品がおすすめです。急速充電で柔軟に運用できるAnker製品も選択肢に入ります。
2025年のポータブル電源市場は、各メーカーが独自の強みを活かした製品を展開しており、ユーザーにとって選択肢が豊富になっています。本記事で紹介した情報を参考に、あなたのニーズに最も合った一台を見つけてください。そして、購入後は日常的に使用し、いざという時に確実に活用できる状態を維持しましょう。


